○ 追加情報

有限会社シーは、システム、ハードは完璧だが、コンテンツ(特に画像などの基本ソースのクォリティ)でお困りのシステムインテグレーター様、デバイス依存のフルデジタルシステムの導入によって、アナログ時代より品質の低下を余儀なくされている方、これからデータベースシステムを構築するが、失敗できない企業様、高い技術力や設備を持ちながらうまくいかない印刷・製版会社様などに対しまして、最もお役に立てるのではないかと考えております。

そのような方々に向けまして、いままでほとんど語られていなかった、それでいて非常に重要な画像やデータベースに対する認識を、実際の運用例や測定数値、 表などもたくさんございますが敢えて掲載せずに、できるだけ平易な文章で書いてみました。少しでも、お役に立てれば幸いです。

色のお話-CMYKとRGB

色の表現方法の一つにCMYKというものがあります。印刷物のための色の表現方法です。
理論的にはC(シアン)M〔マゼンタ)Y(イエロー)だけでよいのですが、印刷インキは純粋なCMYではないのと印刷再現性を良くするためK(ブラック)を加えて4色で表現します。
CMYKに対してRGBという色の表現方法があります。
R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)のことで主としてCRT(カソード レイ チューブ=ブラウン管)などによる色の表現方法です。
一般的な業務用のスキャナーやデジタルカメラもRGBで入力し、印刷目的の場合CMYK変換して補正します。
CMYKに比して色の再現領域が広いのですが、色情報そのものの補正・加工・管理は調整されたモニター上での作業者の感性によるものがほとんどで、厳密な数値管理は商業的に困難です。
それでも、特に色のクオリティに関して問題にならないのは、その画像は電気的表示という物理特性を持つため印刷物のように手元に残らずある時間表示されれ ば消滅すること、また、個人レベルのCRTが完全調整されていることなどあり得ないこと、また多様なCRTそれぞれの性能差が大きいことなどがあります。
CMYKとRGBの二つの色の表現方法、現実としてカタログ通販とテレビ通販の二つを考えてください。
赤いバッグをテレビ通販(RGB)で購入しました。商品が配達されて色がテレビで見た色と違うというクレーム返品は少ないそうです。
出演者の白いカッターシャツや肌色などの記憶色による相対的な判断によって人の脳は高度なオートアイリス、オートホワイトバランス補正を行いたとえCRTが調整されていなくてもその商品の実際の赤色をほとんど仮想できてしまいます。
夕焼けの中を走る白い車のテレビCFをオレンジ色の車とは誰も思わないのも同じことです。
そしてビデオにでも録画していなければ、届いた商品と比較する材料もありません。
一方、カタログ通販(CMYK)ではそうはいきません。
印刷インキでの色表現の限界にせまる商品との色合わせを行わないと即、色違い返品クレームの対象となります。
消費者はじっくりとカタログとつきあわせてながめることができるのですから。

カラーマネジメントのきめて-CMYK

あらゆる情報ソースのなかで現在最も高い情報量を持つメディアは、銀塩フィルムを使った写真です。弊社が創業した2000年現在では1200万(400万×3)画素もある業務用3ショットデジタルカメラを使っても(コンシューマ向けの高級デジタルカメラは1ショット300万画素程度)、普通の35mm1眼レフカメラで撮ったアナログフィルムの情報量にさえ及びません。
だからといって写真プリントをカタログに貼り付けていたのではでは手間もコストも合いません。
そこで、カラー印刷にその情報表示能力を求めることになりました。
写真に近い情報量と色の整合性、低いコスト、大量生産、このすべてをクリアしてきた唯一の技術が今日の4色オフセット印刷技術に他なりません。
そして、高度な修正技術により色情報に至っては銀塩写真よりも管理されたメディア展開が可能となりました。
この印刷技術の基本となる色の表現・管理方法がCMYKの4色なのです。
画像情報のCMYKによる色調のデータもしくは印刷原板フィルムレベルでの管理・加工技術は、印刷工程における製版というプロセスに蓄積し、世界に誇りうる日本の商業印刷技術を陰でささえてきたと言えます。
高度な色再現の保証ノウハウはCMYKにしかないと言い切ることができます。

標準についてのお話

(1)音の世界

私たちは、趣味で楽器を弾いたりCDを聞いたり普通に音楽というものを楽しみます。
特別に習いにいかなくても誰だって一度や二度、ギターなどの楽器に挑戦したことぐらいあるのではないでしょうか。

ケース1

いま、ここに、普通の音楽の知識を持つ少年太郎君が、1本のギターと教本をお兄さんから譲り受けたとします。
家には他の楽器やチューニングに必要な器具もなく、また、太郎君がA(ラ)の音、数値で言うと440Hzの音を特定認識できる(この能力を絶対音感といい ます)人でもなく、しかしその貰った無調律のギターを何とかして自分の力でで弾いてみたいと思ったらどうするでしょうか。
多分、彼は教本を頼りに複数の弦の音を相対比較することによって音階を作ってしまうに違いありません。
こうして調弦されたギターのラの位置の音は440Hzではないでしょうが十分にメロディを奏でることはできます。
実際、独学の練習ぐらいでしたらこの程度で間に合わせる人も多いかもしれません。
さて、この少年太郎君、比類無き天性により、クラプトン(少し古くてすみません。ロックギターの名手です。)も真っ青というテクニックを身につけ例のギターを持ってバンドを結成しました。
ピアノ、ベース、ギター、ドラムの4人というシンプルな構成です。
太郎君は自作の歌とギターを持ってボーカルも担当します。
初めての音あわせの時、彼は自分のギターのラの音がスタジオ備え付けの調律されたピアノのラの音と違うことを知ります。
とりあえずチューニングをおこなうことにより何とか演奏はできましたが、音域が違ったため高い声が出ず、歌うことができませんでした。
音楽というものが楽譜1枚で、国境を越え世界中のいろいろな人、いろいろな楽器で演奏され、そして、特定の人のものでなくみんなに愛されるのは、Aの音、440Hzを基準とする12音階が世界標準としてあるからにほかなりません。

(2)色(CMYK)の世界

では、CMYKの色の標準はどうなっているのでしょうか。
先にお話ししたとおりCMYKを基準とした色を製作・加工できる技術者は製版業界にはたくさんいます。しかし、実はそのCMYKそのものの明確な基準(先述のAの音=440Hzに相当するもの)がなかったのです。
高度な相対的な音階と加工テクニックは持っているが、絶対基準を持っていないと言うことです。
えっ、本当?と思われるかもしれませんが事実であり、それでもいままで特に問題にならなかったのは画像情報という物が印刷物を作る工程において使い切りであり、校正刷りという紙面上でOK(校了)であれば印刷物は完成したからです。
印刷という閉鎖された環境下では、十分にその機能を果たしていました。
しかしDTP(デスクトップパブリシング)という手法がひろまるにつれて、画像情報は保存され汎用データとして再利用すればコストダウンになるのではないかという当然の考えがでてきたときに、いろいろな問題がでてきました。

データベースについてのお話

デジタル化された汎用フォーマットの校了画像データをためこんでおいて、いつでも検索・取り出し使用可能な状態で管理しておけば(これを データベースといいます)、次のパンフレットやカタログは画像の色調に関しては必ず校了であるはずだ。もしかしたら、次回は校正刷りさえ不要かもしれな い。・・・たしかにそうです。本当に校了であれば。しかし、前のお話に書きましたように印刷物製作過程で言う一般的な画像校了とは、ある条件下のみで得ら れる相対的校了です。データベースの目的を持って管理製作し、本当の校了画像を製作していなければ、期待を大きく裏切る結果が待っています。

ケース2

ある自動車メーカーがAと言うクーペのカタログをa印刷会社で作りました。シビアな色あわせを行いすばらしい出来映えのカタログです。
画像はすべてデータベース化されました。
半年後、Bというセダンのカタログをb印刷会社で作りました。
ボディカラーはAクーペと同じバリエーションです。これも完成後データベース化されました。
a・b両印刷会社とも印刷技術が高く、二つのカタログを並べてみてもどちらも実車とたがわぬほどのボディカラーが再現されていました。
三ヶ月後すべての画像をデータベースより再利用してこの二車を載せた総合カタログCをc印刷会社で製作しました。
同一紙面にならべられた同色であるはずの二車はまるで違うボディカラーのように表現されてしまいました。とても、校了と言える色校正ではありませんでした。
何故こうなってしまったのでしょうか。
すでにおわかりのように、前回の各々のカタログの色という部分においては、それぞれの印刷会社の持つそれぞれのカラーテーブル上でのみ再現が可能なのです。
この状態は、音のお話のときの太郎君がバンドを組んだときの状態になったわけです。
再度補正をかけて従来通り何度か色校正をあげなければ、Cというカタログは、クライアントニーズを満たす品質には仕上がりません。
それでは、ケース2を実現するのは無理なのでしょうか。
単純に考えれば、いずれかの印刷会社1社にすべてを発注すればよさそうに見えます。
しかし、大手印刷会社でも外部依存率が90%を越える製版工程の色基準を統合管理するのは製版業界そのものがそのような管理プロセスを行っていないのです から不可能でしょうし、また可能であったとしても一つの閉ざされた枠内でしか通用しない基準下のデータ蓄積ですので、それではある意味完全な囲い込みと見 ることもできます。
事実上他では使えないのですから。
世界に目を向けると、実はISO/TC130(国際標準化機構/印刷部会)が印刷色の標準色を制定しているのです。
日本でもISOに準拠したJapan Color色再現印刷’97が作成され、やっとケース1で言うところのAの音=440Hzに相当するものができつつあるわけです。
これに準拠した色再現理論に基づくデジタル画像データをa社とb社(厳密に言えばa社とb社の製版部門もしくは外注製版会社)が作成してこそはじめて、ケース2の成功が望める状態になります。
ついでにいいますと、c社も同じ基準をもてば、理論的には色校正不要も可能です。
CTP(コンピュータトゥ プレート=印刷デジタル情報を中間材料であるフイルムに出力せずに直接刷版に出力する手法)などもこの部分をクリアしてこそ真価を発揮する技術です。

デジタルデータのワンソース・マルチユース

ワンソース・マルチユースと言う概念は、完全な基本ソースを製作・管理すればデバイスに応じた様々な形式に機械的に変換するだけでスムーズに対応できるという、きわめて合理的な考え方です。
文字情報の実際の例では商品コードや価格等の情報を運用中の基幹系からtextとして抜き出し、カタログの文字情報に反映したりしています。
DTPなどと連動させシステム運用することにより、個別文字情報に関しては校正不要となります。
では、画像の場合はどのように考えればいいのでしょうか。
画像データの場合情報量を求めれば求めるほどファイルサイズは大きく重くなります。たとえば通常オフセット印刷に使用される400dpiという解像度で A-5程度CMYK・EPSバイナリ形式に保存しますとたった1点で約30MBというデータ量になりますが、資産としての画像情報量としては必要な情報量 です。
有限会社シーでは、あくまでこの大容量の画像ファイルサイズを維持・管理したうえで、デバイスやシステム目的に応じたサイズで同点数の複数のサブデータ ベースソースを製作することにより、画像データのワンソースマルチユースと高効率運用の完全履行を具現しています。
数度きりの印刷目的であればEPSバイナリ形式以外にもJPEGなどの非可逆圧縮(元の正しい状態に戻せない)によってデータ量を減らす方法もあるのですが、見かけはそこそこでも情報の欠落をともなうため情報資産としての保存形式としては不適当です。
有限会社シーの画像データベースソースに対する基本設計理念はデファクトスタンダードと資産価値・そしてデバイス非依存です。EPSバイナリ形式は高品質 画像の世界のデファクトスタンダードであり、今後もハイエンド画像の資産としての保存形式としては最適です。
そして今あるサーバに入らないからとか、情報量が多くコピーに時間がかかるとか、目先の機器の現在の能力にあわせて情報資産のほうを減らすという本末転倒 の愚行を否定します。世界を騒がせたコンピュータのY2K問題も全く同様の考え方によって引き起こされてしまったといっても過言ではありません。

高度管理画像データベースソースについて

CALSという、高効率化理論があります。簡単に述べますと、元々はアメリカ軍の武器や装備の供給、メンテナンスを効率良く行うための軍事理論でした。
その本質は、情報のデジタル化と標準化です。有限会社シーの画像データベースソースの基本概念は実はこのCALS理論に基づくもので、資産たるべき情報は 独善的な基準や理論で製作するべきものではないという認識のもと、あくまで標準と汎用を基本として設計・管理・製作されるものです。
この基本設計がなければ、いかに優れたデジタル画像製作加工技術をもってデータベースを作ってもせいぜい印刷目的の先行画像入力ぐらいの意味しか持ち得ませんし下手をすると、適正データサイズ逸脱によるロスの方が多くなる可能性もあります。
この基本設計基準によって管理、製作された画像データベースソースがP-DBS.c(パーフェクトデータベースソースドットシー=特許申請No.2000-111104)です。いかなる目的にも耐えうる完全校了の画像データベースソース。
1点目の画像と10,000点目の画像が偶然同じ色、同じ材質であったとして同じ紙面に偶然並べられてもあたかも同じ日に撮影されたように配置される。厳 しいプロの目をクリアしなければならないハイエンド印刷物でさえ単なる2次使用とする常識を破るクオリティ。
その完全校了はデファクトスタンダードに対する保証からのみ生まれます。


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